大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 昭和53年(ラ)17号 決定

抗告人(債権者) 株式会社カルストーン

右代表者代表取締役 岡本博視

右代理人弁護士 畑中広勝

同 馬杉栄一

同 高崎良一

同 片岡清三

相手方(債務者) 北海道石晶工業株式会社

右代表者代表取締役 中尾重春

相手方(債務者) 人造石材株式会社

右代表者代表取締役 宮崎功

右両名代理人弁護士 林信一

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一、本件抗告の趣旨及び理由は別紙記載のとおりである。

二、当裁判所の判断

1. 当裁判所も、抗告人の本件仮処分申請は却下すべきものと判断するものであり、その理由は、次のとおり訂正、附加するほかは、原審裁判所の判断(原決定の六枚目表二行目から九枚目表八行目までの部分の記載。)と同一であるから、これを引用する。

(一)  原決定の、

(1)  六枚目表三行目に「一ないし三」とある次に、「及び抗告人についての登記簿謄本、閉鎖登記簿謄本」と加入する。

(2)  六枚目表四行目から五行目にわたって、「付した」とあるのを「使用して」と改める。

(3)  六枚目表七行目から八行目にわたって、「標章を付して」とあるのを「商標を使用して」と改める。

(4)  六枚目裏三行目に、「考察するも」とあるのを、「考察する場合においても」と改める。

(5)  六枚目裏七行目に、「文字を使用している建材に付された標章は」とあるのを「文字を含む、建材について使用されている商標が、」と改める。

(6)  六枚目裏一一行目から一二行目にわたって、「判断するのが便宜である。」とあるのを「考察するのが相当である。」と改める。

(7)  七枚目表三行目から四行目にわたって、「その商標を付した」とあるのを「債権者の右商標を使用する」と改める。

(8)  七枚目表五行目に、「の軽の表音をそのまま使用したものである」とあるのを「(かるいし)の「軽」の表音を表示する意図で用いたものである」と改める。

(9)  七枚目表六行目の「片仮名」から八行目の「させるものではない。」までの部分を、「表音は、一般通常人の間では、「軽い」を意味する国語の独立した単語としては意識されておらず、それ自体から直ちに「軽い」という観念を生じさせるものとは考え難い。」と改める。

(10)  七枚目表一〇行目の「表示されて」から八枚目表一二行目までの部分を、「結合されている場合には、「カル」もまた英語の単語またはその一部であると意識され易いものと考えられる。右の二点からすれば、一般通常人が、「カルストーン」の「カル」を、直ちに、それが国語の「軽」の表音であると認識し、「軽い」という観念を連想するということは、殆んどないものと考えるのが相当である。してみると、「ライトストーン」の「ライト」が「ストーン」と結合していることに因って、一般通常人に「軽い」という観念を連想させ易いといえるとしても、「カルストーン」と「ライトストーン」とが観念において類似するということはできない。」と改める。

(11)  八枚目表末行に、「標章」とあるのを「商標」と改める。

(12)  八枚目裏一行目の、「また」の次に「本件商標と「ライトストーン」という商標とは、」と加入する。

(13)  八枚目裏三行目から九枚目表五行目までの部分を除く。

(14)  九枚目表六行目及び八行目に、「標章」とあるのを「商標」と改める。

(二)  したがって、相手方らが製造、販売する不燃建材について使用している「ライトストーン」なる商標が、抗告人が商標権を有する本件商標と類似するものであることを前提として、相手方らによる右商標の使用が、抗告人の本件商標についての商標権を侵害するものであることを理由とする本件仮処分申請は、その余の点について判断するまでもなく理由がないものといわなければならず、右の点について、保証をもって疎明に代えることは相当でないから、抗告人の本件仮処分申請は、これを却下すべきものである。

三、よって、抗告人の本件仮処分申請を却下した原決定は相当であり、本件抗告は理由がないから、民事訴訟法第四一四条、第三八四条第一項によりこれを棄却することとし、抗告費用の負担につき同法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 輪湖公寛 裁判官 寺井忠 矢崎秀一)

〈以下省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例